便秘外来について
便秘は日常的に起こりやすい症状で、女性を中心に多くの方が便秘に悩んでいますが、かなり頑固な便秘であっても専門医による治療を受けている方はまだ少ないのが現状です。便秘は日常生活に大きな支障を生じますし、痔などの病気リスクを大きく上昇させる原因にもなっています。また、便秘が重大な病気の症状として現れている可能性もあります。
便秘が起きている原因、腸の状態、症状の内容、ライフスタイルなどによって、適した治療方法は大きく変わります。市販薬を長年使い続けたことで、悪化させてしまっているケースもあるため専門医による適切な治療が重要です。便秘でお悩みでしたら放置せずに、お気軽にご相談ください。
こんな症状があったら、便秘外来の受診をおすすめします
- 便が硬い
- 便に血液が混じる
- 便の色が黒っぽい
- お腹が張る
- 排便が3日以上ないことがある
- 排便しても残便感があり、スッキリしない
- 薬を飲まないと便が出ない
- 常に薬を飲んで下痢状態にして出している
- 便秘薬が効かなくなって量が増えている
- 便秘で肌荒れしている
- 下半身がむくみやすい
便秘とは
便通の頻度にかかわらず、すっきりした排便ができない状態が便秘です。毎日便通があっても残便感があれば便秘ですし、1日おきに便通がある状態でもすっきり快適に排便できるのであれば便秘ではなく治療の必要はありません。服薬しないと便通がない、長時間いきんでもなかなか排便できない、便が硬く出にくい、膨満感や残便感がある、腹痛をともなうなどの場合も便秘外来での治療をおすすめまします。
また、便秘は重大な疾患の症状として現れることもありますので、便秘しやすい方は便秘外来を受診して原因となる疾患がないかをしっかり調べてもらうことが特に重要です。
便秘の原因
運動不足、食物繊維の不足、水分不足、食事量自体の不足、ストレス、自律神経の乱れ、排便習慣、腸内フローラの乱れが代表的な便秘の原因です。特に、排便習慣は便通異常につながりやすいため注意が必要です。便意があるのに我慢してしまうなどの排便習慣を改善することは、便秘解消と再発予防に欠かせません。
便秘の種類
便秘は、病気が原因となって起こっている続発性便秘と、腸の機能などの問題で起こっている機能性便秘に大きく分けられます。病気が原因の場合には、その病気の治療を行いながら症状としての便秘を改善していきます。
機能に問題がある場合は、水分量、蠕動運動、便意の低下などの状態に合わせて治療を行っていきます。便秘外来を受診してどのタイプの便秘なのかを確かめ、適切な治療を受けましょう。
機能性便秘
結腸通過時間正常型
直腸まで便が正常に来ているのに、便意が起こらない状態です。便意を我慢することが多いと、やがて便意を感じにくくなります。便意は一番スムーズに便を出せるタイミングで起こるため、便意がないと排便に時間がかかり、肛門にも負担がかかって痔になりやすい傾向があります。
結腸通過時間遅延型
大腸の蠕動運動が低下して起こり、直腸まで便が来るのに時間がかかる状態です。蠕動運動は自律神経にコントロールされているため、ストレスや生活の乱れなどの影響を大きく受けます。
便排出障害型
排便機能が低下して、いきんでもなかなか出ない状態です。
なお、蠕動運動が亢進し過ぎると下痢になることが多いのですが、下痢と便秘を繰り返すタイプなどで蠕動運動の亢進と低下を繰り返しているケースもあります。
続発性便秘
器質性便秘
手術後の癒着や大腸がんなどの疾患による狭窄や閉塞で便が出にくくなっています。手術が必要になる可能性もあります。
肛門直腸疾患
切れ痔は便秘を併発しやすく、悪化すると肛門狭窄によって排便が困難になり、強い痛みを起こします。肛門の緊張をゆるめる日帰り手術で解消でき、切開などの必要はありません。
その他
神経疾患や筋疾患などの病気によって便秘の症状が現れています。また、かなり多数の薬剤の副作用に便秘があります。糖尿病や甲状腺機能低下症の治療薬、降圧剤、向精神薬などで便秘症状を起こすことはよくあります。便秘を起こしにくい薬にかえることもできますので、普段、服薬している方は便秘外来を受診する際にお薬手帳か、飲んでいる薬そのものを持参してください。
便秘外来の診察と検査
問診
ライフスタイルや食習慣、便秘の症状、排便状況、お悩みの点などをくわしくうかがいます。
検査
腹部の触診後、腹部X線検査で便秘の状態を確認します。必要があれば、血液検査や大腸カメラ検査でくわしく調べます。
大腸カメラ検査では、粘膜の状態や長さなどを調べ、大腸がんやポリープ、炎症などの病変がないかを確認します。疑わしい部分があった場合には、内視鏡で組織を採取し、生検を行って確定診断も可能です。
便秘の治療
生活習慣の改善
便通には食習慣や日々の運動などの生活習慣が大きく関わっているため、便秘の解消や再発防止には生活習慣改善が不可欠です。重要なのは続けることですので、当院では患者様のライフスタイルやお考えに合わせて無理のない生活習慣の改善方法を具体的にアドバイスさせていただいています。
薬物療法
便秘のタイプや症状の程度、年齢、ライフスタイル、お考えなどに合わせて合う処方を見つけていくことを当院では重視しています。たとえば、下剤の種類だけでも、機械的下剤、刺激性下剤、腸をコントロールしている自律神経に作用して消化管運動を調整するもの、そして漢方薬があります。また、近年、便秘薬は新しいタイプのものが次々に登場しているため、それだけきめ細かく患者様の状態に合わせた処方が可能になってきています。そのため、慎重に少しずつ処方変えながら最適な処方を見つけるようにしています。